カテゴリ:乱読( 84 )

ふゆきたかし「暗示の壁」読了

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皆さん、これどんな本だと思われますか? (既読の方、ふゆきたかし をご存じの方を除く)
すごい老婆さん(敬老精神有り)にも見えるし、二つの顔がダブッテいるようでもあるし。
とにかく、少し気持ちの悪い絵ですね。
何故、この本をgetしたのか自分でも分かりません。

実は、この本は、私立探偵物なんです。
本書は、1990年 サントリーミステリー大賞佳作賞受賞のエンターテイメントです。
ふゆきたかしさんとは今回が初対面ですが、児童文学、SF etcの著書があるそうです。
寡聞にして、小生は、よくは存じ上げません。

さて、物語は割と定型的に始まります。
まず、探偵。元警察官。39才、独身。武術に長けている。女好きで、標準以上の女には、
すぐ惚れてしまう。ダンスのインストラクターをやってるS・X FRIENDが、約一人いる。
ある日、彼のしおたれた事務所に来客がある。この界隈には、似つかわしくない、上品な、
金のかかった服装の美人が二人も。ひとりは二十代後半、他は三十代半ば。
二十代後半の方は「陶器」のような肌の理知的な美女、三十代半ば、フックラとした良家の
奥様風。実際にも、食品会社社長夫人だ。社長は五十才。一回り以上年の差がある。
依頼内容は、この夫婦の末っ子が誘拐されたので、なんとか子供を取り返して貰いたい、と
いうもの。何故、警察に任せないのか、そして何故、たった独りでやっている、こんなちっぽけ
な探偵事務所を訪れたのか?誰の紹介なのか? 探偵の疑問に一切答えはない。
しかし、法外な謝礼につられて仕事を引き受けることに。
調査を開始するが、普通の誘拐事件とは全然様子が違う。誘拐の事実を告げたあとは、直ち
に身代金の要求が来るものだが、十日も経つのに全く連絡がない。これは金目当てじゃなさ
そうだ。それでは怨恨か?家族を苦しめようとしているのか? 心当たりは、ない、と言う。
半月ほど経って、漸く犯人から手紙が届く。「クレオパトラの涙」という22ctのダイヤだ。価格
は、ナント5億1千万円。銀座の宝石店には、社長名で予約したという。
通常、身代金というものは、こんな足の付きやすい物ではなく現金を要求するものだが、その
理由も全く分からない。そして、取引になる訳だが、アッと驚く為五郎、いや方法で、見事に、
ダイヤをかっさらわれてしまう。犯人は、よほど頭のいいやつで、緻密な計画を立てたに違い
ない。子供の行方も杳として知れない。
再び、要求が来て、今度は3億円の現金を持ってこい、という。
そして、またもや、犯人に、してやられてしまう。
誘拐されて、もう半月以上。子供は犯人の顔をみている筈だから、ひょっとして、もう生きては
いないのではないか?

探偵は警察と協力しあって、走り回り、脳を絞りに絞って、論理的思考を重ね、意外な犯人を
突き止めるに至る。 しかし、証拠がない。 「暗示」が壁になっているのだ。暗示とは?
探偵は、この壁を崩すことが出来るのか? 論理と証拠で犯人を屈服させられるのか?
子供の命は? 身代金は?

という訳で、著者に楽しく振り回されて読了しました。
この、気色の悪い表紙の絵も、納得できるものでした。


乱読状況 : 山田五郎「カフェのテラスにて」読了
         アゴタ・クリストフ「悪童日記」乱読中
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by tsc-edotyuu | 2005-06-02 18:22 | 乱読

「断章」読了

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「断章」という文集を、ご存じでしょうか?

以前、拙ブログで取り上げさせていただきました、井上俊夫氏「初めて人を殺す」の著者で、
H氏賞受賞の詩人、井上先生が指導される各地の エッセイ教室 のうち、京都教室午後の部の皆さんで年一回発行されている同人誌(文集-エッセイ集)であります。
聞くところによりますと、この教室は大変な人気で、欠員待ちの状態であるそうです。(これ
は、レトリック京都 といって午前の部のことだそうです。)
↑の写真には、第22号 2004.9 とありますから、もう22年以上続いているんですね。
以前、新幹線で岡山から通っておられた方もいらっしゃったそうで、人気の程が窺えます。

さて、本号は20人の方々の作品が掲載されています。これ以外に、井上先生の作品「バリ
アフリー2004にて」が掉尾を飾っています。これは「初めて人を殺す」にも所載の作品で、
小生が最も感銘を受けたもののひとつであります。
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      「初めて人を殺す」 は、コチラです。


本文集を読了しまして、執筆者のみなさんは、経済的にも豊かで、社会的にも立派な方々
であることが感じられました。しかし、その執筆の姿勢は、所謂、手すさび等というものでは
なく、実に真摯で、洵に敬服すべきものであります。

ここでは、内容についての詳述はいたしませんが、これをご提供下さった我がブロ友の
taizannさん (ブログ名 私のエッセー)を、ご紹介しますので、是非、そちらを読んで
頂ければ、この文集-教室の質の高さがお分かりになると思います。
「私のエッセー」では以下の文章が発表されています。(発表順)
   天国に行った徳さん
   ブルキチ自慢
   引揚者の思いと共に(旅行記)
   犬も食わぬ喧嘩
   我流「ちりめん山椒」
   当世美容院模様
   戦艦「阿賀野」との出会い  「断章」第22号所載  
   前世との交信
   世界で2人だけ
   アルコール耐性部会
   どこまでも片思い
   FT革命が人類を救う

いずれも、襟を正す思いに駆られたり、心にしみいるものであったり、お人柄を窺わせる
そこはかとないユーモアを感じさせるものであったり、優れた作品ばかりです。
皆さんに、該ブログのご一読をお薦めする所以であります。


乱読状況 : 山田五郎「キャフェのテラスで」乱読始め
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by tsc-edotyuu | 2005-05-30 20:41 | 乱読

「吉村智樹の街がいさがし」笑読了

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最近こんなに笑えた本はありません。
著者の吉村智樹さん、40才、たいした才能です。駅前商店街を歩くのが好きで、”商店街浴”でパワーを得ているようです。そんな吉村さんの”イイ湯加減な”物件を紹介しています。
街のヘンな看板や貼り紙、風景、お土産等々を探して、あちこちを、ほっつき歩き、うろつき回
り3日ごとに、ブログを更新するだけでも大変ですが、ヘンなものをベタに、或いは、とんでもな
いところへ飛んで、実に笑える解説を付けています。その知識と想像力、創造力には脱帽です。拙ブログにUPした 湯出玉子 も、吉村さんに触発された代物でした。
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中華そばは「ら」。それじゃ、チャーハンは「ち」か。ラーメンとチャーハンのセットは「ら・ち」  う~む、ヤバイ・・・ とまあ、こんな感じです。
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これはキャッチコピーじゃなくて、れっきとした店名だそうです。これから神功皇后に話が飛ぶんです。その過程をお楽しみ下さい。
我がブロ友で占い師のf-as-heartsさん  強敵現わる? 
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小田急江ノ島線湘南台駅を降りると、いきなり疑問符を投げかけられた。答えは?
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Ah-KoreaKorea  あ~こりゃこりゃ 早稲田の店。冬ソナ→荻野目慶子、長谷川初範の「愛のソレア」に飛ぶ。      韓国チヂミ 食べたい!   
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ににんがよん  インドの数学教育にまで話は及びます。
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歯とニホンカモシカの関係?
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京成本線 お花茶屋 というサイケな名前の駅前で見つけた。このラーメンの食後には何を飲めば? ご丁寧に、店名まで アロマ。
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むかしさんというのが院長の名前?  それはそれで珍しいですね。

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200 BLOGS が収められています。 駄作は、ひとつもありません。
一般書店&7-11でgetできます。オークラ出版 ¥880 ←安いっ!


乱読状況 : ふゆきたかし「暗示の壁」乱読始め
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by tsc-edotyuu | 2005-05-28 09:47 | 乱読

「一枚の地図」読了

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一枚の地図があります。

地図帳に載っているような、ちゃんとした、そして無機質な地図ではなく、イラストであったり

昔の古地図絵であったりします。これを、作家、評論家、学者の皆さんに示し、イメージ旅行

をして貰ったのが本書です。

当然、執筆者にとって、無関係な場所ではなく、それぞれ故郷であったり、深い想い出が

あったりする土地の地図です。

47人の執筆者は、すべて錚々たる方々です。4枚という短い文章に、イメージ紀行を見事

に、纏めておられます。


一例として、我がブロ友、seoul_daysさん (お気楽オンマのそうるらいふ) ゆかりの

近江八幡を取り上げてみました。筆者は、奈良本辰也さんです。
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この地が、大きく歴史上に姿を現したのは、天正13年(1585)豊臣秀次が近江20万石の

大名に封ぜられてからのことです。秀次の築いた八幡城は、この地の中央とも言うべき

日牟礼八幡宮のすぐ後ろにあります。ただ、秀次が秀吉の勘気を被り、高野山に追放されて

この城は廃城となりますが、この地は全く町人の町となります。

貝原益軒によれば、大津と並ぶ、広さと繁盛を誇ったと言います。

「今日(乱読注 1978年)訪れても、整然と、ととのった町並みそしてそれに連なる土蔵造り

の家〃、頑丈な格子戸、すべての印象が在りし江戸期の繁栄を思わしめるのである。ここに

居た大商人達の活躍を偲ばしめるのだ。・・・」 こういう文章を読むと旅情をそそられますね。

ここで生産された”近江蚊帳”は今で言うブランド品であったらしく全国に流通したといいます。

これ以外に、畳表、灯心、数珠、円座、コンニャク、酒、瓦などが特産品だったようです。


こういう感じで、47篇が収められています。以下、執筆者と場所を列記します。

笹沢左保   鰍沢に別離を見た 山梨     難波利三  大森  島根 
奈良本辰也  近江八幡-豪商の町- 滋賀  長部日出夫  十和田湖
邦光史郎    伏見の港 京都         森 敦  飯田橋界隈  東京
吉村 昭    出島  長崎           宮尾登美子  浦戸湾  土佐
原田伴彦   堺                  多田道太郎  日ノ薬師界隈  京都 
小田切進  本郷界隈  東京         小林久三  渡良瀬遊水池  茨城 古河
中田耕治  秩父の有間渓谷  埼玉     北条秀司  箱根八里  
吉田光邦  別子鉱山   愛媛         野口富士男  深川六間堀・五間堀 東京
戸部新十郎  金澤                新田次郎  上高地 
岡部伊都子  篠山  兵庫           富士正晴  岡城  大分 竹田
井出孫六  横須賀  神奈川          黒岩重吾  近江大津と蒲生野
真下五一  丹後半島  京都          黒井千次  北信州・上林
尾崎秀樹  八丈島                山崎正和  秀吉と世界図屏風
藤沢桓夫  住吉大社  大阪          眉村 卓  日生(ひなせ)  岡山
武蔵野次郎  伊豆下田             岡松和夫  元町周辺  横浜
後藤明生  朝倉  福岡            沢田ふじ子  白川越え  京都
島村利正  高遠  長野            高橋昌男  新宿角筈  東京
杉本秀太郎  サン・ジミニャーノ        平田 敬  江戸古地図
木村重信  タッシリ・ナジェール  アルジェリア
笹部一良  世界地図及び四ケ国地図    織田武雄  中世ヨーロッパノキリスト教地図
高瀬重雄  越中   富山           深作光貞   幻の黄金半島
南波松太郎  下関                矢守一彦   大阪城界隈
桜井徳太郎  阿那賀  淡路島        杜山 悠  鵯越  兵庫
安部 昭    赤坂界隈  東京        宮川良彦  高野山 和歌山  
                                          アア、シンド!
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          日生(ひなせ) 岡山 ↑
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              幻の黄金半島 ↑ 

これらの諸篇を読むと、地図は「地球表面の一部または全部を一定の縮尺で平面上に
表わした図」というよりも、限りなくイメージの世界に誘ってくれるロマンがあり、詩がある
ように思えてきます。
                         サンケイ新聞社・編  PHP研究所・刊 1978



乱読状況 : 吉村智樹「街がいさがし」 乱読始め  
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by tsc-edotyuu | 2005-05-26 23:27 | 乱読

「イタリア・トスカーナの優雅な食卓」読了

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オリーブ、葡萄、糸杉の緑が織りなす、名画のような田園風景。自然の恵みがもたらした
新鮮な野菜、パスタ、チーズ、ワイン・・・
ルネッサンスを育み、西欧社会の理想を具現する地トスカーナには、シンプルにして、芸術
的な食卓があった!

宮本美智子さんが、”伴侶”の永沢まことさんと娘さんと共に、トスカーナの田舎に滞在し
”食”を中心に、田舎暮らしの楽しさを語ってくれます。
blogの大先輩で美術評論家のshouさんのリクエストで永沢さんのステキな絵を出来る
だけ、お見せしたいと思います。

彼女達が”住んだ”のは、フィレンツェとピサの中間くらいのセアノ村から更に奥に入った
あたり、カペッツアーナというところです。ここはボナコッシ伯爵の所有地で、その敷地は
なんと655ヘクタール。どのくらい広いかというと・・・ええっと・・、とてもとても広いんです。
伯爵一家の住む屋敷は、ヴィラ・ディ・カペッツアーナとして知られ、なんとなんと15世紀
に建てられたものだそうです。しかも、元々はあのメディチ家のものだったそうです。
彼女が見せて貰った部屋だけで30以上もあり、どの部屋にも名作の譽れ高い絵画や彫刻
が飾られているそうです。
ボナコッシ伯爵家はワイン製造を業としています。カルミニャーノ・ワインのヴィラとして有名
なんだそうです。  ワインのことは、我がブロ友、volnayさんが、とても詳しいです。
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                                ボナコッシ伯爵と伯爵夫人

トスカーナは南仏プロヴァンスと並ぶ、ヨーロッパ人、とりわけ英国人のあこがれの地である
そうで、「トスカーナには新鮮でおいしい食事と素晴らしい風景と野菜と花の香り、プロヴァ
ンスにあるものすべてがある」と言われています。
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健康美容食を追求していった先が何故イタリアだったか?
宮本さんの答えは「野菜が多くて新鮮だから。」しかもパスタでとる炭水化物は、消化が
よく、おなかにもたれなくて心地いい、と言っています。
↑の野菜達  左ページ ペペロ-ニ、ルーコラ、ズッキーニ、キュウリ、トマト、パセリ
         右ページ バジリコ、カルチョフィ、ナス、タットゥーガ、フィノッキオ、
                ラディッキオ・ロッソ
こういう野菜だけでなく、オリーブもチーズもワインも肉(兎等)も全部、伯爵家では自給
自足できるんだそうです。スゴイですね。
宮本さんたちは、伯爵家から、ひと山離れた伯爵の妹夫婦のヴィラの一部に滞在するん
ですが、畑から好きなだけ野菜を摘んで食べてもいいと言われ、本物の野菜をたらふく
食べています。
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葡萄摘みを手伝います。
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ダ・ヴィンチ村の家↑
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トスカーナの木陰↑
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フィレンツェです。有名なドゥオーモの屋根が見えますね。↑ ジオットの鐘楼も。

永沢さんは、パルミジャーノ・レジャーノの、あの塩味と口の中でまろやかに溶けていくときの
うまみに魅了されたそうです。 ヨーロッパのチーズの歴史は古く、最も古いのは、イタリアの
ペコリーノ(山羊)でBC1世紀ごろから、次がゴルゴンゾーラ(青カビ)で9世紀、パルミジャーノ
は10世紀、そのあとにスイス、フランスのチーズが続くんだそうです。
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大家さん。赤シャツは、伯爵の妹の旦那、フィリッポ。

大家さんや、その友達、伯爵家そして、ここを拠点にヴェネツィアやジェノヴァまで足を伸ばし
て、優雅なそして素朴な、ヘルシーな食卓を楽しむのです。


前にも掲出しましたが、こんな本も出ています。
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乱読状況 : 「一枚の地図」読了
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by tsc-edotyuu | 2005-05-26 00:19 | 乱読

創句 二幕

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二幕は ”愛 ” です。 想像力を駆使して読みなさいと永さんは言ってます。
  
(創句 ? 初めての方は こちらをクリックして下さい)


☆恋果てて虫歯治療に通い出す

☆恋はクイズで、愛はパズルだ
  (永さん注 創句は名言なのでありますヨ)

☆処女捨てる前夜に檸檬をひとかじり

☆目覚ましをかけなくていい夜
  一人じゃない

☆好きだけどだけどの先にある生活

☆私の心はフクザツなのに
  簡単にほどいてしまうのだあれ?

☆玉葱いためる
  ジェラシー 透明になるまで
   (永さん注 料理は平静な心でなどと言いますが、玉葱はイライラしながら炒めたほうが
    よろしい。)


☆帰り際の君の涙は反則だ

☆同権と言いつつ女 泣いて勝つ

☆耳たぶを咬まれたまま、朝

☆失敗は性交がもと
   (某氏注 性交が成功して玉の輿   失礼!)

☆事情があって、ふたりです

☆失恋が想い出にかわるまで八時間
   (永さん注 八時間という具体的な数字が妙におかしい。)

☆今や男の中には男一匹どころか
  一匹二匹と数えたい男がいる。
   (乱読注 反省します!)

☆君は僕の夏だったのかもしれない
   (乱読注 辻邦生か辻井喬が言いそうですね)

☆綺麗な女は空気抵抗が少ない
   (乱読注 ○○は空気抵抗多いからなあ)

☆ダックスフント連れて女の脚線美

☆だまされながら 手口の透ける 悲しみ

☆愛しているから許せない
  愛しているから許すしかない

☆男には男さえ産めないのね

☆疲れたと 去った女房 疲れとれたかい
  (永さん注 最後の問いかけはオカシイ!)

☆来い。俺の心に土足で来い。

☆子の父を奪う女の細い首
   (永さん注 子・父・女の関係がこんなに短い言葉でまとまるんですね)

☆愛人と結婚する馬鹿

☆女は体の中に紅を持っている 

☆帰る国が違うので別れた

☆眠れる俺の美女

☆怖いのは、振られた直後の一目惚れ

☆火照るムスコ、やめとく勇気

☆手首に傷を持つ女 

☆右目でしっかり世の中を見て
  左目でちゃっかり君も見ている

☆あなたが見つめる わたしになりたい

☆鼻炎が邪魔した夜だった




こんなところです。アナタの心に ビビッと来たのがありましたか?

次回 創句 三幕は ”食 ” です。 ご期待下さい。


乱読状況 : 宮本美智子「イタリア トスカーナの優雅な食卓」乱読始め
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by tsc-edotyuu | 2005-05-22 18:51 | 乱読

桐野夏生「グロテスク」読了

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三冠王・桐野夏生の作品です。きりの・なつお  さんです。 岡本夏生は なつき です。
ご参考までに;
   1993年 「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞
   1998年 「OUT」で日本推理作家協会賞
   1999年 「柔らかな頬」で直木賞          を、それぞれ受賞されています。
ミステリー・ルートでの三冠王といえば、小生には陳舜臣さんがすぐ思い浮かびます。
他にも、いるかもしれません。

さて、本書。まず、この表紙ですが、一見なんの変哲もない海底に、珊瑚があって、海藻
がユラユラ揺れている、そんな風に見えます。ところが、これが実に象徴的な絵なんです。
何が象徴的か?突き放すみたいですが、気になる方は、本書をお読み下さい。

実は小生、桐野夏生の作品というだけでgetし、getしたから読んだ訳ですが、もし内容
が分かっていたら多分読まなかっただろうと思います。
というのは、これは例の<東電OL殺人事件>がモデルになっているからです。
この事件を新潮文庫から出ている佐野眞一の著作で詳しく知ってなんだかとてもミジメな気持
ちにさせられたからです。

c0039999_10251482.jpgこの事件は、ご案内のように、平成9年(1997年)3月、昼間は東電という超一流企業で総合職として働く女性が、夜は渋谷・円山町界隈で街娼をしていて、彼女を買った客の誰かに殺されたというものです。総合職だから、本当はOLじゃないんですが、<東電女総合職殺人事件>だと、坐りも悪いし、<女>に文句を言う向きもありそうだから、<OL>にしたんだと、これは想像です。
犯人は出稼ぎのネパール人(f-as-heartsさんゴメン)で、海浜幕張のMという店でも働いていたというので、このあたりに、よく行く小生としては妙な心持ちです。
一審では無罪判決が出たそうですが、検察側が控訴したようです。(その後の状況は、トレースしてないので知りません。ご存じの方のコメント、お待ちしています。)

「グロテスク」では、犯人は、今、流行りの中国人になっています。
”中国”に関し、以前、拙blogでとりあげた、蛇頭に詳しい森田靖郎(「中国人犯罪グループ」)の著書も参考文献として使われていて、犯人の中国人の長い手記も一つのshouいや章となっています。

桐野はこの事件を芯に、上下二段組536ページという大部の物語に仕立て上げました。
スイス人の父、日本人の母を持つ混血姉妹がいて、この姉の方が狂言回し、妹は信じられな
いほどの美少女で、百人が百人とも彼女を見たら固まってしまうというくらいなんですが、彼女
も娼婦になり、やはり殺されるという役割です。准主役です。
姉の同級生でT大医学部を卒たのに、ムーオ理真教幹部となって事件を起こす女子も出て来
ます。
こう言うと、なんだかブイヤベースみたいですが、主題は”グロテスク”
主役と准主役がグロテスクな怪物に変身していく様を冷酷に描いたのが本書です。


My 書棚にある桐野作品
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by tsc-edotyuu | 2005-05-21 11:22 | 乱読

斎藤 澪「炎(ひ)まつり殺人事件」車読 了

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「この子の七つのお祝いに」で第一回横溝正史賞受賞、斎藤澪のトラベル・ミステリー。

売れっ子の人気評論家の出版記念パーティーに乱読いや乱入したひとりの老人が、この
本に載っている俳句は盗作だと激しく面罵した。
評論家の”作品”は、こうだ。
 ひゅろろろりん 頬染む新妻(つま)に ひゅろろろりん
老人が提示したのは
 ひゅろろろりん 老妻(つま)もうたうか ひゅろろろりん
発表時期からしても明らかに盗作だ。老人は、オリジナルの作者の古い友人だった。
痛罵された時、評論家のすぐ傍には評論家の妻を含めて親しい者が五人いたが、五様
の反応を示す。
だが、この老人が殺される。犯人は、恥をかかされた評論家か?
現場には、えもいわれぬ香りの扇子が落ちていた。扇子と言えば・・・
探偵役の雑誌編集長・砥部は、このパーティーに同席した、高級な和服の美女に強く惹かれ
謎に引き込まれて行く。
調べを進める中、協力し合う新聞記者も殺された。誰が、何のために?
東京、松江、そして京都貴船と砥部は駆け回る。そして砥部が見たものは、11年前の殺人と
女の激しい怨念と情念の跡だった。

東京はともかく、松江、京都・貴船と、砥部と旅情を共にしながら、女の情念を懼れつつ謎の
解明を楽しんでみませんか?
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by tsc-edotyuu | 2005-05-20 11:29 | 乱読

創句 一幕

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創句ってご存じでしょうか?
五七五にとらわれず、フリースタイルで、俳句のようなもの、つまり短文だそうです。
雑誌”鳩よ”に投稿された何万という膨大な投句から、永六輔さんが選んで一冊に纏めた
のが本書です。
その基準は 1 自由
        2 新しい感性
        3 遊び        この3点です。
「短い文章というのは、読み手の想像力がプラスされることで完成するものだ。」と永さんは、
仰有ってます。

永さんが選んだ中から、さらに小生の感性(たいしたものではありませんが)に引っかかった
ものを、ご紹介したいと思います。
想像力を目一杯働かせて、お読み下さい。


一幕 生きる

☆何程の者じゃなし静かに生きる

☆自分自身への礼儀もある

☆大きなクズ入れがあったので入ってみた

☆写りの悪い写真の中の私も私

☆人生の回り道が直線に見えてきたよ

☆色に染まらず色を塗る

☆「完全」には「不完全」が欠けている

☆自分の我慢強さに我慢できないこともある

☆人生まぜごはん

☆薄情なくせに世話好き

☆なんとかなりますよと言うのは他人

☆人間は勘定の動物です

☆顔で笑って心で泣いて頭の中で計算してる

☆悪徳という徳はない

☆現金 献金 厳禁

☆論より証拠隠滅

☆ウソ八百は八百屋では売ってない

☆苦しみも悲しみも
  幸福と同じくらい
  儚ければいいのに

☆「一人」と「独り」は似ているようで赤の他人

☆一年の計は簡単に

☆ホップ ステップ バック

☆二兎を追う者は二倍の努力をする

☆なんにもしないわがままと
  なんにもできないかなしみ

☆一周おくれて走る やすらかさ


こんな感じです。
ただの駄洒落、川柳に負けない批判、感性だけに訴える現代句、幼児のような一言
これが創句です。

次回は 二幕 愛  です。これも面白いのがいっぱいあります。乞うご期待。



乱読状況 : 桐野夏生「グロテスク」 読了
         「断章」熟読中
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by tsc-edotyuu | 2005-05-18 23:24 | 乱読

桃谷方子「百合祭」読了

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69才、73才、76才、81才、91才 こういう年令の女子の中に、79才だけど、とてもカッコイ
イ男子を約一人放り込んだら、どうなるか?

本書は1999年、北海道新聞文学賞受賞、桃谷方子(ももたに・ほうこ)さんの作品です。
「百合祭」は、ゆりさい と読みます。桃谷さんは1955年、札幌生まれ。「北方文芸」等
に作品を発表されてるそうです。               講談社 2000年1月  刊

札幌 西一条橋 (miton.aさん、p_adoさん、これは実在してますか?)近くの毬子アパ
ートに三好輝治郎さんが引っ越して来るところから始まります。
このアパートには一人暮らしの女子が何人か生息していまして、彼女達のprofileは;
宮野理恵さん(73才)札幌ポプラ病院に通院していて、血圧降下剤、コレステロール緩和
        剤、精神安定剤、胃薬、利尿剤を常用しています。
        アパートでの付き合い方として、他人としての親しさを尊重したい、といいます。
        百合が好きで、いつも部屋に飾っています。この”百合”が非常に象徴的な意味
        を持っています。  この人の視点で話は進みます。
        三好さんから 菩薩、観音様 と称えられます。
里山照子さん(69才)は身長140cmそこそこ。搗きたての餅のように、たぷたぷ太っていま
        す。色白で、きめの細かい肌の持ち主です。 デシャバリだと宮野さんは言って
        ます。
並木敦子さん(76才)贅肉のな細身です。異性には潔癖なところがあるようです。
         三好さんから 天女、女神 と称えられます。
横田レナ子さん(81才)は70才まで薄野でバーを経営していました。男に関してはプロで
         す。未だに”女”をウリにしています。10才年下だった二度目の夫を72才の時
         に亡くしています。その大きな黒い瞳は、男性の意識を自分に向けさせるため
         に必要な表現を熟知しているようです。
         三好さんから マリア様 と称えられます。
北川よしさん(91才)骨と皮なのに体力があります。アパートに越して来る初めての男性
        に会った時、その股間に触ることによって自分のアイデンテイー(自分が女性
        であること)を確認するヘキというか習慣があります。
        猫が大好きで、ユージロー他2匹を、それこそ猫かわいがりしています。
これに毬子アパートの大家さんの奥さんが加わります。
毬子梅香さん(76才)並木敦子さんと女学校が一緒だったそうです。
          宮野さんによれば、深海魚が苦悶しているようで鮟鱇そっくりだそうです。
          アパートの猛者達からは、業つく婆あ、見栄っ張りと陰口を叩かれています。
          いかにも 成金 という格好をしています。

ここでヒーロー登場です。
三好さんは、背が高く、スリムです。白髪をオールバックにしていて、いつも櫛目が通ってい
      ます。宮野さんの口を借りれば、「その顔は、まだなにかを追求しようとしているか
      のような鋭さと、柔和な落ち着きを同居させている鳶色がかった瞳や、話し終わる
      とただちに両端がきりりと締まる薄紅色の唇」を持っていて、とても魅力的です。
      自分でも、日露混血に間違われたと言うくらい、彫りの深い美貌なんですね。
      しかも、嫌味がなく、上品で、気さくです。

女子達は、みんなポーとなって、三好さんは歓迎されまくります。みんな恋する乙女のように
胸をときめかせるのです。
69+73+76+76+81+91=466/6=77.7 単純平均で77.7才の女子達が三好
さんの好意を獲得しようと努力する様は、いっそ、いじらしいものがあります。
並木さんも言います。「三好さんたら、あの通りクジャクみたいに華やかなんだもの。」
そして、三好さん争奪戦が始まる訳です。

ネタバレさせちまえば、三好さんは、宮野さん、並木さん、横田さん、毬子さんと愛し合って
しまうのですが、歓迎会で、それがバレても三好さんは、ちっとも悪びれず、むしろ堂々と
所信表明演説をブツのです。
「あなた方の一人一人が好きだ。だから口説きたいと思ったし、愛し合いたいと思った。」
「・・・人生を自由に生きようと思って・・・僕は、選ばない、という状態でいようと思った。」
選ばずに、遍く愛を分け与える---三好教ができそうなイキオイですね。案外こういう
ことから新興宗教が始まったりして。

百合ですが、宮野さんが三好さんと結ばれた時、(と言っても79才の爺様がモノの役に立とう
筈がなく、性○接触どまり) ポンという音をたてて花びらが開いたのです。
こういうシーンは本書ではここだけで、ちっともイヤラシクなく、むしろ神聖な儀式を執り行なう
という印象でした。
宮野さんを通して著者は百合について語ります。「滑らかな花びらのすべてを開かない百合
は淫らであり、可憐である。騒々しいようでありながら、密やかである。真夏の炎天の下でも
萎れない。無垢に強かに咲き続ける」
アパート脇の大家さんの庭にも百合がたくさん植えられており、著者は百合に特別の思い入
れがあるようです。

我々関東在住者にとっては珍しいことなんですが「札幌は、いわゆる花の歳時記に関係なく
咲く花が多い。水仙とひまわりが揃って咲いたりもする。・・・5月の頃には、早春の花、春の
花、初夏の花がいっせいに咲く。さながら百花繚乱の観がある。」という描写も楽しいですね。


さて、三好さんの行状を見ていると、これは老カサノヴァの日本版かと思われそうですが、
いいえ違います。
主題は「老人の生き方、暮らし方、楽しみ方」がテーマの、素晴らしい小説なんです。
こんな文章があります。
「年を取るとともに、若い頃にはそれぞれあった特徴がなくなっていく。みんな、いちように
老人の顔になっていく。男でもなく女でもない”老人”という顔である。しかし、その顔こそが
生きるということは、老いていくことなのだ、と告げている。」
ウチの家人もよく言ってます。「赤ん坊と年寄りの顔はみんな同じようだ。」
三好さんが言います「若いとか老いたとかじゃなく、”生きている”ってことが大事なんじゃない
かい。僕は今年79才になるが、若さが羨ましいなんて思ったことはないな。僕より年がいって
る人になら羨望するがね。」
「・・・生きれば生きるほど楽しくなるということに気がついたんだな」
「昨日、死ななかった、だから、今日生きている。これは確実なことだ。昨日死んだ人間は
今日は生きていないからね。僕たちは誰も昨日へは戻られない。けれど、明日を生きること
は可能なんじゃないか。明日を生きてさえいれば、明日、そこに自分が映るんだ。」


著者は、執筆当時、43,4才ですが、深い愛情と洞察でもって、懸命に、真面目に、これを
書いたことが窺われます。



乱読状況 : 桐野夏生「グロテスク」乱読始め  



 
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by tsc-edotyuu | 2005-05-14 20:55 | 乱読