宮本美智子「男についての12章」

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宮本美智子さんが登場するのは、2度目か3度目。以前の記事は「イタリアの幸せなキッチ
ン」「旅でスケッチしませんか」。夫君、永沢まこと氏との共著。
 伊藤 整に「女性に関する12章」という好著があるが、今日は「男に関する12章」。
本書の著者略歴によれば、彼女は1945年北海道富良野市生まれ。北星学園大英文科卒
業後、渡米、ゴーシェン大に留学し、以後はニューヨーク・ソーホーに17年間在住し、美術
キュレイターとして活躍。1986年東京に移り住む。1997年、惜しくも死去された。合掌。

 主要著書

ニューヨーク女三代記           アメリカが嫌いだった父へ
わたしは英語が大好きだった       わたしの二都物語
マイ・ニューヨーク・フレンズ        恋人たちのニューヨーク
バックトウージャパン             アメリカの恋人
スペインの誘惑   etc

 大日本帝国男児であった、大正生まれの父に育てられた著者は、そんな父に対し、当時は
大反発したが、今になって、それが著者の「男を見る目」の基礎になっていたことを知る。
父の生き方は、「スタイルを持った男」のそれであり、言い換えれば「美意識を持った」と
なるようだ。「父が確固たる美意識に支えられた生き方を全うしたことに、なんともいえぬ満足
感を感じる」著者である。

第1章  俗っぽさについて  良い品性の男の顔つきが、俗っぽくなった。
                   俗物性について語る。

第2章  男の死に方について  「男というものは、少なくとも私が恋し愛した男達は、父親を
                     筆頭に、例外なく死ぬ時のスタイルにこだわっていた・・」

第3章  情事について  映画”Love in Afternoon”の日本語タイトル「昼下がりの情
                事」には、どこか秘めやかで濃厚なエロチシズムがたちこめている
                と感じる著者が、情事について考察する。
                アーウイン・ショーとのインタビューでのやりとりも面白い。
                「立ち食い蕎麦で3分間のランチを済ませる男達の昼下がりには、
                色香の気配もない。」そうだ。

第4章  年下の男について  高級レストランでは、ゲストが値段を気にせず好きなものを
                   選べるようにとの配慮から、値段のついたメニューは支払い
                   をする人(男性と決まっている)にだけ渡されるが、そういう
                   レストランに招待してくれる年下の男ピエールについて。
                   彼のようなヨーロッパ式の古めかしいマナーを守り続ける男
                   はニューヨークでは実に稀だという。

第5章  ギャンブルについて  著者は、ギャンブルは本来男のための遊びだと規定する。
                    女は、男がギャンブラーであることを常に望んでいる。
                    ギャンブラーには、「由緒正しい」女を同行するのが正しい
                    という。著者はギャンブルにアナーキーな魅力を感じてい
                    るらしい。

第6章  性的魅力について  「複雑な考えを持つ男が魅力的であるように、女もまたセック
                    スアッピールを奥に隠し持つセンシュアルな人が男を魅き
                    つけるもの」だという。

第7章  男の贅沢  「いずれにしてもパリのX嬢の存在は・・」 著者よりひとまわり年上の
              、ニューヨーク在住の男ウオーレン。妻が居て子供が居て明朗快活
              な家庭があるといった健全な一重生活には飽きたらない男・・

第8章  男の嘘について  「男は秀れて嘘つきであるべきだ。彼らにとっては最強の敵で
                  あるはずの女を、見事に欺く嘘つきであらねばならない。」
                  あくまで秘め事であってこそ成り立つらしい快楽としての性を楽
                  しむには・・・

第9章  恋する能力  「もう一度♂と♀に立ち戻ることでしか、現代の男と女が抱える矛盾
                と絶望に対する希望は見えないのではないか・・」 

第10章 イタリアの男について  「イタリアの男は平均すると一人で七人の女性とおつきあ
                     いしているんですって?」
                     典型的イタリア男マルチェロにインタビューした。

第11章 イギリスの男について 英国の男というのは、ひどいショービニスト(男性優位主義
                     者)らしい。堅固な主義主張を持ち、他人の意見や考えに
                     同化したり、影響を受けたりしない、という自信に基づく優
                     位主義こそが彼らの信条だというが・・・

第12章 複雑な男について  ”セクシーで魅力的”などというキャッチフレーズの付く男優
                    ならハリウッドには山ほどいるが、ダーク・ボガードのように
                    「複雑な顔を持つ男」というのはめったに居ない・・・
                    「レターズ」サブタイトルが、ミセスXとの友情、というボガー
                    ドの著書は、アメリカに住むある女性に5年間に亘って書き
                    送った650通の手紙で構成されている・・・
 

                                                 以上


乱読状況 : 井沢元彦 もうすぐ読了
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by tsc-edotyuu | 2005-04-17 18:52 | 乱読
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